2012年02月27日 05:58

神戸には 明治〜大正時代に建設された西洋館が集中しているエリアがあります。
中央区北野町山本通は 異人館街と思えるほどに 外国人の住宅が多数残っており、
その一部が公開され観光名所になっています。

開国から明治前期まで、外国人の住まいはお雇い外国人は例外として
原則として居留地に限られていました。(旧居留地=当Blogの2/24の記事参照)
不平等条約撤廃により居留地が廃され、明治32年(1899年)以降は、内地雑居が認められ、
旧居留地以外の高台に 外人住宅が建設されるようになりました。
これが「北野雑居地」…現在の北野異人館通りの始まりです。

日本で異人館が多く残っている都市は 貿易港であった神戸と長崎です。
(横浜は関東大震災で大きな被害を受け 函館も明治40年の大火でその多くを失っています)
神戸・北野は高台に位置し 神戸中心部である麓の商工業地域とはやや離れていた事と
外国人居住区だったので神戸大空襲の標的にならなかったのが幸いし、
戦前の神戸の優雅な雰囲気を 今でも残した街並みとなっているのです。

「異人館通り」とは山本通の別称です。
中央区の北野町と山本通一丁目から山本通三丁目界隈に集中しています。

1980年、北野町山本通は 重要伝統的建造物群保存地区として選定されました。
神戸市は文化財保護法及び神戸市都市景観条例に基づいて
東西約750メートル、南北約400メートルの地区を 伝統的建造物群保存地区に定めました。
洋風建築物34棟、和風建築物7棟等が伝統的建造物として特定され、保存措置が講じられています。

神戸の異人館の中では 英国人建築家 アレキサンダー・ネルソン・ハンセルの手になるものが多いのです。
彼は英国王室建築家協会のメンバーで明治21年に来日し 大正8年に中国に去るまで
一貫して民間建築家として活躍しました。

先の阪神・淡路大震災では 異人館の約3割が失われたようですが
それでも40棟余りが現存し、現在でも修復・保存が講じられています。

明治20年代から大正期(19世紀末〜20世紀初)にかけて 高台に建設された異人館
比較的閑静な区域に 調和のとれた街並みが形作られています。
造りの美しい洋館に溜息をついたり どこで写真をとっても絵になるので
歩くだけでも充分に楽しめます。

神戸の主な異人館
旧ハンター住宅 - 明治22年(1889年)築 重要文化財
シュウエケ邸 - 明治29年(1896年)築 ※休業中
旧キャセリン・アンダーセン邸 - 明治32年(1899年)築
旧ハッサム住宅 - 明治35年(1902年)築 重要文化財
旧シャープ住宅 - 「萌黄の館」、明治36年(1903年)築 重要文化財
旧トーマス住宅 - 「風見鶏の館」、明治38年(1905年)築 重要文化財
旧ハリヤー邸 - 「うろこの家」、明治38年(1905年)築
旧ヘイガー邸 - 「みなと異人館」、明治39年(1906年)築
旧ブルクマイヤー邸 - 「北野物語館」、明治40年(1907年)築
旧グッゲンハイム邸 - 明治45年(1912年)築
旧ドレウェル邸 - 「ラインの館」、大正4年(1915年)築

明治期の神戸という町 街並みの中に西欧が忽然と出現したわけですが
コロニアルスタイルの建物、庭の芝生、赤や黄色の薔薇 金髪の女の子、ピアノの調べ....
そんな異質の物を目にした近所の住民は さぞかし
強烈なエキゾチシズムとモダニズムを感じたものでしょう...。
神戸ファッションなどの卓越したセンスの良さは
この西洋人と日本人の「雑居」から生まれ 磨かれてきたのでしょうね。

この北野異人館街では プライバシーが極端に尊重されていたようで
人々は隣人の生活に出来るだけ干渉しないようにして住んでいました。
英国人の隣にドイツ人が住み その向かいにロシア人が住んでいるような場所だけに
国際情勢が微妙に絡むことがあるためか
互いの生活にあまり深く立ち入りたがらなかったのです。

本国の建築材料が思いのままに入手できない時代に
日本の材料や日本の風土に相応しいと考えた様式を取り入れて
一種独特の雰囲気を醸し出したのが 神戸の異人館ではないでしょうか?。
エキゾチックな雰囲気を残す家並みは 見た目には趣きがあって良いのでしょうが
実際に住むには不便だったようで 部屋が広い上に天井が高いので
戦後に住んだ日本人は 暖房代が嵩むのを嫌って
低い所に板でもう一つ天井を貼付ける(二重底の天井)など 改装も施したようです。
(一歩裏に入ると、閉鎖された館や、朽ち果てた建物もあります)
神戸 北野異人館街公式サイト
http://www.kobeijinkan.com/

異人館は9時頃から開いています。

数を周る時間が充分にあれば「9館特選入館券」を購入しても良いのですが
9館の共通入場券が3,500円とはテーマパーク並みですし(笑)
すべて回るのは大変です。

おまけに横浜の洋館は大半が無料で見れますが、神戸は1つ1つにお金がかかります。
“幾つか周っても中は同じような感じだろうし 外観だけ楽しみたい..!"
そんな人が 入場料を払っても見ておいた方が良いという所は
やはり「うろこの家」「風見鶏の家」の2箇所でしょうか....。

「ラインの館」は無料です。

やはり 知名度の高い異人館は 建物も広く状態も良いので間違いないと感じます。
ゆっくり散策しながら「入ろうか、止めようか」相談しながら歩くのも楽しいかもしれません。
周囲には素敵なお店、美味しいランチが食べられるお店も点在しています。
注意が必要なのは、夜間のイルミネーションが綺麗な神戸ですが
異人館は17時には閉館する所が多い点でしょうか...。

女性なら 異人館で衣装(ドレス)のレンタルも愉しいかもしれません。
何れも数千円だったと思いますが
とある館の玄関には「オカマ、ニューハーフの方の女性用ドレス試着はお断りします」などと明記してありました(笑)。
他にもドレス以外に民族衣装の試着や 自分だけの香水を作ったり、体験型のものが多い所です。



北野の異人館街の散策で 女性がヒールの靴を履いているようでしたら、
とにかく坂ばかりですので その辺は覚悟して履き替えなどを準備されるのが得策かもしれません。
異人館街の中は徒歩での散策となります。

北野異人館周辺へは、山陽新幹線・神戸市営地下鉄新神戸駅から南西側に位置
(徒歩で15〜20分)
JR三ノ宮駅・阪神・阪急・神戸市営地下鉄三宮駅から北西側に位置
(徒歩で15〜20分)
徒歩でも移動することができますが、最も簡便なのが「シティーループバス」に乗車して周る事です。







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北野異人館街まで徒歩約3分、新神戸ロープウェーまで徒歩約徒歩12分
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